最近読んだ本

伊岡瞬の『陰りゆく午後』

 

ちょっと前に同作者の『痣』を読んで、それが結構面白かったんで買ってみました。

 

ある日、認知症が始まった父から

「人を轢いたかもしれない」

って電話が掛かってくるという最悪の話です。

ただ高齢者が人を轢いて、それを忘れてしまったという話ではなく

「あれ?なんか父の周りにいる人、ちょっと怪しいな」

となり、真相を探っていくサスペンスですねー。面白いですよ。

 

印象的だったのは、主人公の妻に対する言葉が気になりました。

この主人公、ザ・昭和男というか。妻が喋ると必ず

「馬鹿だな。それは~・・・」

みたいな答え方するんですよね。それがめっちゃ不快で、読んでる内に感情移入するというよりは「もっと酷い事にならねーかな」って思っちゃったりしました。

 

次はみうらじゅん『マイ遺品セレクション』

マイ遺品セレクション

これはさっきの『翳りゆく午後』がしんどい話だったんで、

次はふざけた本を読もう

と思って本屋を歩いてたら見つけました。

 

みうらじゅんって、僕の世代からするとよくわかんない人なんですよね。

うっすら

「あー、ゆるキャラって言葉を作った人だっけ?」

という情報があるくらいで、本当に何の人かわからない。

 

そんな状態だったんですけど、読み終えてからめっっちゃ好きになりましたね。

世界各国の尿瓶を集めてたり、見てて腹立つ絵馬を写真に撮って集めてたり...

言ってしまえば無駄の一言なんですけど、それが心の豊かさに繋がっているというか。

自分もこうでありたいなと。意味ないこと沢山したいなーと思いましたね。

このブログでも無駄なことを積み重ねていきたいなと、改めて思いました。

 

・・・で、読み終えてから調べてみたら

『マイブーム』とか『クソゲー』って言葉もこの人が発祥なんですね。

変な人だなー。

・・・

 

 

次は櫻田智也の『失われた貌』

Amazon.co.jp: 失われた貌 : 櫻田 智也: 本

本屋でホラーの棚にあったんで、ホラーだと思って読んでたら全然違いました。

ただね・・・

 

こんなに綺麗にまとまるんですね

 

お堅い警察小説なんですけど、最初に山で変死体が見つかるところから話が広がりに広がって。これどうなんのかなーと思ってたらめちゃくちゃ綺麗に終わったんで、気持ち良かったです。気持ち悪い事件なんですけどね。

『伏線回収』が好きな人はたまらないだろうなー。

 

次は芦沢央の『魂婚心中』

15冊目の本にして、初めての。『魂婚心中』作者あとがき(芦沢央)|Hayakawa Books & Magazines(β)

これが先週と今週読んだ中では一番面白かったですかねー。

題材が、自分にとって興味のあるものが多かったのが理由なんですけどね。

 

短編集になってるんですけど

村田沙耶香』っぽくもあり

イギリス版世にも奇妙な物語とか言われる『ブラックミラー』っぽくもあり。

そういうの大好き。

 

6つ話があって、その内の4つが好きでした。

 

まずは1つ目

死後婚のマッチングアプリに、推しのリア垢を見つけた人の話

自分は『推し』って感覚がわからないんですけど、それにまつわる話はすごい好きなんですよね。『推し、燃ゆ』とか『インザメガチャーチ』とか。

 

2つ目

ゲーマーのRTA大会の話

単純に未来のゲームのRTA大会という設定だけでワクワクしますね。ちょっとブラックな要素もあって好きです。

 

3つ目は

死後、天国行と地獄行を判断する閻魔帳のシステムの穴をつく話

これはめちゃくちゃ面白い発想だなと思いましたね。閻魔帳のアルゴリズムがアップデートされたら、評価される行動もまた変わるっていう。

自分は天国地獄って考え方があんまり好きじゃないんですよ。

前に少年犯罪の本を読んだことがあるんですけど、そこで

「彼らに必要なのは更生ではなく治療だ」

っていうセリフがあって、すごい共感したんですよね。例えば人を56したくなる欲とか、幼児に興奮してしまうとか、その欲を抑えられるかどうかも生まれ持った脳や育った環境に左右されてるだけだと思うので、「悪いことをしたら地獄だ!」は子供の教育には良いかもしれないですけど、僕的には納得いかないなと思ってて。

だからこの話は結構刺さりました。面白かったです。

 

4つ目は

少女と使用人の話

これはネタバレ避けるために内容書かないですけど、お話としては一番ちゃんとしてたんで面白かったです。個人的には他の話のぶっ飛んだ発想が好みなんですけどね。

 

次はくわがきあゆの『レモンと殺人鬼』

レモンと殺人鬼 [書籍]

これも面白かったですねー。

主人公がとんでもなく不憫で。10年前に父を殺されて、母は失踪。

そして現在、妹が遺体で発見されたという主人公。

更に被害者であるはずの妹に『生命保険金殺人やってた疑惑』が持ち上がって、世間から大バッシング。

妹の疑いを晴らすために主人公は行動していくんですけど、中盤以降が面白すぎて、

「寝ようと思ったけど残り100ページ...いってまえ!」

と読書を強行して寝不足になりました。

 

終盤は

「あーなるほど!そういうことか!」

と思ったら

「違うんかい!」

の連続で、見事に揺さぶられましたねー。

 

いやー・・・

人間は怖いです。